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統合医療やまのうち小児科・内科

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5つの病因論 潜在感染3(牛乳の害について)
先月に続き、今月も牛乳がいかに人体に悪影響を及ぼすかを説明したいと思います。今回おすすめする参考図書は『乳がんと牛乳』(ジェイン・プラント著 径書房)です。

 著者のジェイン・プラント先生は地質学(地球化学)の研究者で、現在イギリスのインペリアル大学教授です。プラント先生は42歳で乳がんを発症し、当初は乳房切除術、放射線治療、抗がん剤治療など、西洋医学的な治療を受けていましたが、5年間で4回の転移を経験しました。科学者であるプラント先生は、自ら乳がんの原因を探ろうと、様々な文献を調べました。そして、食事が西洋化していないアジアの女性には、乳がんが極めて少ないことに気が付きます。それからプラント先生自身が、乳製品を一切避ける食生活を実践し、抗がん剤治療でも効果のなかった鎖骨上リンパ節へ転移したがんも退縮したそうです。プラント先生は「乳がんは、できるだけ早いときから乳・乳製品を摂らないことで予防できる。たとえ乳がんになっても、乳・乳製品を絶つことで転移・再発を抑えることができる」と仰っています。

 この本の中で「乳製品が乳がんの原因となる確実な証拠」として取り上げているのが、IGF-1とエストロゲンです。IGF-1は「インスリン様成長因子ー1」の略で、乳児期や思春期の子どもの成長に必要な物質で、細胞の分裂増殖を促します。牛乳には人の母乳よりも多くのIGF-1が含まれているのですが、そのIGF-1は乳がん細胞を分裂増殖することがわかっています。エストロゲンは、性ホルモンの一種で女性らしさを促すホルモンと言われています。エストロゲンは乳腺細胞の増殖にも関わっており、乳がん細胞を分裂増殖する場合があります。牛乳にはIGF-1やエストロゲン以外にも様々な生理活性物質が含まれており、この本の中では「ホルモンカクテル」と表現されています。

 この本の翻訳をされた佐藤章夫先生(山梨医科大学名誉教授)も、プラント先生同様、牛乳に含まれるホルモンの危険性を強く訴えておられます。牛乳のホルモンは女性の乳がんだけでなく、前立腺がんのリスクも上げることを指摘されています。またそのホルモンの作用によって、女性の月経不順、不妊症、男性の精巣発育の障害、精子数の減少に関わっていることも様々な証拠を挙げて訴えておられます。ネットを見ることができる方は是非、佐藤先生の「生活習慣病を予防する食生活」を見てください。

 これらのことを知っても、多くの方は牛乳・乳製品をやめられないかもしれません。実際、今まで私が診察し、牛乳の害を説明した患者さん達も、みんなが牛乳・乳製品をやめているわけではありません。それほど、「牛乳は体に良い」という間違った常識による洗脳が行き渡っているのです。行政、マスコミ、企業の利益のために皆さんの健康・命が犠牲になっていることに早く気づいて欲しいと思っています。

 最後に、酪農家の方々が一所懸命、牛乳を作っていらっしゃることを非難する気はありません。ただ、現代の効率主義の酪農が、健康に悪い牛乳を作り出していることは、ほぼ間違い無いと思っています。できれば放牧による飼育、餌は牧草だけ(無農薬で)、非妊娠牛からの搾乳、滅菌された牛乳、を作って欲しいと思います。この条件をみたしていただければ、牛乳を嗜好品として楽しむことができるかもしれません。

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