2014/11/12
心に効く漢方2
前回に引き続き、心に効く漢方薬を説明します。 普段の診療で、普通の風邪のような症状でもなかなか治りにくい時は、精神的なストレスがないかチェックするようにしています。もし精神的なストレスが強い場合は、風邪の治療だけでは免疫力がなかなか高まらず、長引いたりこじれたりします。前回から紹介している漢方薬などを併用して、ご自身のストレスに気付いてもらい、考え方を変えるアドバイスもします。最近おすすめしている一番簡単なストレス解消の方法は「まぁいいかぁ」と繰り返し心のなかで唱える方法です。「まぁいいかぁ」ということに抵抗がある方もいらっしゃいますが、この言葉はすべての物事を肯定する前向きな言葉です。マイナス感情が湧いてきたら、「まぁいいかぁ」と何度も言っていると、フーっと肩の力が抜けて、リラックスできるので試してみてください。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
前回説明した桂枝加竜骨牡蛎湯に名前がとても良く似ていますが、効果も同様で基本的に考えすぎる傾向がある方に使います。頭のなかで、あーでもないこーでもないと考えていたり、気になる問題があってそのことについてずーっと頭に残っているような感じの時に使います。またほとんどの場合、睡眠が浅く夜間に何度も目が覚めたり、夢をみたりして、何時間寝ても寝足りないと感じる人が多いです。桂枝加竜骨牡蛎湯との違いは、柴胡加竜骨牡蛎湯の方がイライラした気分や焦った気分に効くようです。この処方が合いそうな方に「気持ちが焦っていませんか?」「時間に追われてせかせかした感じではありませんか?」と聞くと、大抵の方が同意されます。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
のぼせがあり、強いイライラがあるときに使う漢方薬です。熱を冷ます作用が強いので、からだが弱っている人にはあまり使いません。よく使うのは、皮膚のかゆみが強く、眠れない時。イライラと、皮膚の炎症両方に効くため症状がおちつきます。 特に胸が苦しくなるようなイライラに効くようです。個人的には、飲み会の前に五苓散と一緒に飲んでおくと、酔い過ぎや二日酔いの予防になるので、重宝しています。
加味帰脾湯(かみきひとう)
基本的に落ち込みとイライラが共存するような状態に合う処方です。実際の診療の時は「気分が落ち込んでいて、何か大きな葛藤がある」という場合に使用します。AにしようかBにしようか迷っていて、決断できず物事が前に進んでいかない感じがする人によく合います。仕事を続けるかどうか?離婚するかどうか?など大きな決断をしないといけない(or決断をしたい)が決めきれず、鬱々とする気分に効くようです。
甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
子供の夜泣きによく使う漢方薬です。甘くて飲みやすいのが特徴です。この処方が合うキーワードは「テンションが高い」「感情の起伏が激しい」と表現できるような気がしています。大人の方には、ずっと泣き続けていたり、パニック状態になるときにとても良く効く場合があります。